ドローンの型式認証とは?第一種・第二種の違いと空撮現場のギャップ

ドローンには「型式認証」「機体認証」という制度があります。

さらに、それぞれに「第一種」と「第二種」があるため、

「第一種と第二種は何が違うの?」

「型式認証と機体認証は同じもの?」

と分かりにくく感じる方も多いと思います。

ドローンの安全な運用を考えるうえで、機体認証や型式認証の制度は重要です。

一方、実際にドローン空撮を仕事として行っている立場から見ると、制度上求められる機体と、映像制作の現場で使いたい機体との間には、まだギャップがあるように感じています。

今回は、第一種・第二種の違いから、型式認証と機体認証、そして空撮現場で感じている課題について考えてみます。

まず「型式認証」と「機体認証」は別のものです

最初に整理しておきたいのが、型式認証と機体認証の違いです。

型式認証は、メーカーなどが製造するドローンの「型式」に対する認証です。

国土交通省では、特定飛行に使用することを目的とした無人航空機について、強度・構造・性能、設計や製造過程が安全基準と均一性基準に適合しているかを検査する制度としています。

一方、機体認証は、実際に使用する一機一機のドローンについて安全性を確認する認証です。

つまり簡単に言えば、

型式認証=その機種・型式に対する認証

機体認証=実際に使用する個々の機体に対する認証

という違いがあります。

型式認証を取得している機種の場合、個別の機体認証を取得するときに検査の全部または一部を省略できる仕組みになっています。

第一種と第二種の違いは?

型式認証と機体認証には、それぞれ第一種と第二種があります。

大きな違いは、想定している飛行方法です。

国土交通省は、

第一種型式認証・第一種機体認証
→ 立入管理措置を講じることなく行う特定飛行、つまりカテゴリーⅢ飛行を目的とした機体

第二種型式認証・第二種機体認証
→ 立入管理措置を講じたうえで行う特定飛行、つまりカテゴリーⅡ飛行を目的とした機体

と整理しています。

分かりやすくすると、次のようになります。

区分主に想定される飛行
第一種立入管理措置を講じず、第三者上空で特定飛行を行うカテゴリーⅢ
第二種立入管理措置を講じ、第三者上空を飛行しないカテゴリーⅡ

ここでいう立入管理措置とは、飛行経路下に第三者が立ち入らないようにするための措置です。

カテゴリーⅡは立入管理措置を講じた特定飛行、カテゴリーⅢは立入管理措置を講じず第三者上空で行う特定飛行として区分されています。

第二種機体認証がなければ飛ばせないわけではありません

ここも少し分かりにくいところです。

「第二種機体認証を持っていないドローンでは、カテゴリーⅡの飛行ができない」

という意味ではありません。

機体認証の取得は、すべてのドローン飛行で必須ではないと国土交通省も明記しています。

カテゴリーⅡの飛行では、飛行内容によって従来どおり許可・承認を取得して飛行する方法もあります。

また、一定のカテゴリーⅡ飛行では、第二種以上の機体認証と操縦者技能証明などの条件を満たすことによって、飛行許可・承認が不要になる場合があります。

一方、カテゴリーⅢで飛行する場合には、第一種機体認証を受けた機体、一等無人航空機操縦士など、より厳しい要件が求められます。

第一種型式認証を取得している機体はまだ非常に少ない

では、実際に第一種型式認証を取得しているドローンはどのくらいあるのでしょうか。

国土交通省が公開している2026年6月19日現在の一覧では、第一種型式認証として掲載されているのは、ACSLの「PF2-CAT3型」です。認証は2026年3月に更新され、有効期間は2029年3月12日までとなっています。

一方、第二種型式認証には複数の機体があります。

DJIでは、

・DJI Mini 4 Pro
・DJI Matrice 4D
・DJI Matrice 4TD

などが第二種型式認証機として掲載されています。

つまり、DJIにも型式認証機はありますが、現時点で公開されている第一種型式認証機の選択肢は非常に限られています。

「飛ばせる機体」と「空撮で使いたい機体」は同じとは限りません

ここからが、実際に空撮を仕事としている立場から感じる部分です。

物流、測量、点検などに使用するドローンと、テレビ、映画、企業映像などで使用するドローンでは、機体に求める性能が違います。

映像制作では、安全に飛行できることはもちろんですが、カメラ性能も非常に重要です。

単に、

「上空から撮影できればいい」

というものではありません。

例えば、広角で施設全体を見せるのか。

中望遠や望遠を使用して被写体との距離感を圧縮して見せるのか。

撮影後にカラーグレーディングを行うのか。

最終的な映像の使用目的まで考えて機体を選びます。

私が普段空撮で使用している機体についても、飛行性能だけではなく、画質やレンズ、撮影後の編集まで考えて選択しています。

そのため、制度上使用できる機体であっても、求められている映像を撮影できなければ、プロの空撮現場では選択しにくい場合があります。

空撮には空撮に適した機体が必要です

型式認証を取得している機体の多くは、それぞれ明確な目的を持って開発されています。

物流であれば荷物を運ぶ性能。

点検であれば長距離飛行や自動飛行。

測量であれば測量に適した機器や運用性能。

それぞれの用途に適したドローンが必要です。

それと同じように、映像制作には映像制作に適したドローンが必要だと思います。

私が問題だと感じているのは、型式認証制度そのものではありません。

安全性を高めるための制度は必要です。

しかし、映像制作の現場で求められるカメラ性能を備え、さらに第一種機体認証につなげられる空撮機の選択肢が、まだ十分とは言えないことです。

型式認証はメーカーの安全ランキングではありません

型式認証について、もうひとつ注意したいことがあります。

型式認証を取得しているメーカーだから、型式認証を取得していないメーカーより必ず安全である、という意味ではありません。

型式認証は、その型式の強度・構造・性能、設計・製造過程などが、定められた基準に適合しているかを確認する制度です。

また、実際のドローン事故にはさまざまな原因があります。

機体だけではなく、

・操縦
・天候
・飛行計画
・周辺環境
・安全管理

なども関係します。

そのため、型式認証の有無だけで、実際の運用における安全性を単純に比較することはできないと思います。

高性能な空撮機の認証がもっと増えてほしい

空撮の現場では、人や車の往来がある場所、都市部、観光地、施設、テレビや映画のロケなど、さまざまな環境で撮影を求められます。

もちろん、安全を犠牲にして撮影することはできません。

法律やルールに沿って、安全を確保したうえで撮影することが大前提です。

だからこそ、空撮そのものを難しくしていくのではなく、安全基準を満たしながら、高い撮影性能を備えた認証機の選択肢が増えてほしいと思っています。

第一種型式認証に対応した高性能な空撮機が増えれば、安全性と映像品質の両方を求められる撮影現場でも、選択肢が広がるのではないでしょうか。

これは空撮業者だけの問題ではありません。

テレビ、映画、映像制作会社、企業PR、観光など、ドローン映像を利用する側にも関係することだと思います。

安全と空撮表現を両立できる環境になってほしい

ドローンの型式認証や機体認証は、安全な飛行を実現するための制度です。

その目的は非常に重要だと思います。

私自身、空撮では「撮れるかどうか」だけではなく、「安全に撮れるかどうか」を考えて判断しています。

一方、実際に空撮を仕事として行っている立場から見ると、制度に対応した撮影機の選択肢については、まだこれからではないでしょうか。

物流には物流に適したドローンがあります。

点検には点検に適したドローンがあります。

そして、空撮には空撮に適したドローンがあります。

安全基準を満たしながら、テレビ、映画、企業映像などでも使用できる高性能な空撮機が、今後もっと増えていくことを期待しています。

制度によって安全性を高めること。

そして、空撮の可能性も残していくこと。

その両方を実現できる環境になってほしいと思います。

お問い合わせはこちら